臨床美術ってなあに?
バイト先や友達にもよく聞かれます。
「臨床美術士って、なに?」と。
臨床美術士、というのを聞くと、
“臨床”ということから臨床心理士みたいなことをするのかな?とか、
美術だからアートセラピーみたいなものかな?とか、思われるかもしれませんが、
実は全く違います。
心理学士やアートセラピストの方々は、多分ですが、
例えば太陽の絵をどのように参加者が描いたか?を観察し、
その過程や内容を汲み取って、「この人はこういう人だ」とか
「いまこういう状態で、どんな気持ちを抱えている」とかを読み取るんだと思いますが…
(すみません、そちらの分野はあまり詳しくないので間違ってる所もあるかもしれません)
臨床美術士は、そういう風に現在の心理状態を読み取るというわけではありません。
では一体、何をするのか?
簡潔に言えば、
「アートプログラムを実施し、それを通じて共感し、寄り添って共に楽しむこと」
を目的とした活動をしています。
元々は認知症の方を対象に発足し始めたこの臨床美術は、
近年科学的にも認知症対策になるという結果が少しづつ出てきています。
原理としては、右脳を活性化させることで、
左脳もいっしょに引っ張りあげるような形で元気になるのだそうです。
左右に分かれた二つの脳は繋がっているといいますものね。
そして右脳を活性化することで、表現力や想像力がぐっと良くなって、
小さな子供たちには成長の手助けにもなります。
またアートプログラムを通じて人と関わることを学ぶので、
他者を尊重し、人の良いところをたくさん見つけて褒められるようになって、
結果的に問題行動が減る、という結果も出ています。
そして何よりも、臨床美術には正解はありません。
例えば、リンゴの絵を描くとして、あなたが青で描いても、ピンクで描いても、
臨床美術士はそれで良いのだと、あなたを受け入れます。
真っ黒い太陽でも、真っ赤な海でもいいのです。
あなたがそう感じて描いたのなら、それはリンゴで、太陽で、海。
自由にのびのびと表現する時間はとても楽しくて、みんな時間をわすれて没頭します。
私たちはそれを“右脳モード”と呼ぶのですが、
それが脳にとってもいい刺激を与えます。
そして出来上がった作品を、臨床美術士はこれでもかというぐらいとにかく褒め倒します。
きっとその時あなたはこう思うでしょう、
「まさか自分でもこんな素晴らしい作品ができるだなんて思わなかった!
こんなに褒めてもらえるだなんて思わなかった!
自分は、やればできるのかもしれない!」
自己容認欲求が満たされて、とても幸せな気持ちになりますよね。
そしてこれはこの場だけでは終わらないのです。
たくさん褒められた作品を持って帰ったら、家族や友達や会社の人に見せたくなりますよね。
「ねえ見てみて、こないだこんなの作ったんだよ」と。
そしたらきっとみんな驚くはずです、
「え、これあなたが作ったの?!すごいね!」
絶対に驚いて褒めてくれます。
そしてここから話も広がりますよね。
とても楽しかった思い出を、家族や友達や会社の人と分かち合えるのです。
臨床美術はたくさん素晴らしいものが詰まった、
画期的な技術だと私は思っています。
そして私はこれを、いつか社会人の方々に実施していきたいです。
ストレス社会で戦う人たちが、傷ついて完全に動けなくなる前に…。
明日は私が臨床美術に出会った経緯をお話します。
ここまでありがとうございました。
さくらこ。